公正取引委員会がWEBサイトで公開している「よくある質問コーナー(下請法)」
のQ.46(型等の保管)について改訂が行われ、昨日公開されました。
1年間の金型等の保管をもって「長期間」と判断した事例があることや、保管費用は
下請事業者からの請求の有無にかかわらず保管期間に応じて支払う必要があることな
どが明記され、大幅に内容が拡充されましたので、貴協会会員の皆様にも必要に応じ
て情報提供をいただけますと幸いです。
■公正取引委員会HP よくある質問コーナー(下請法)
URL:https://www.jftc.go.jp/shitauke/sitauke_qa.html
以下、改訂された内容
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12 不当な経済上の利用の提供要請の禁止(4条2項3号)
(型等の保管)
Q46 当社は,部品の製造を委託している下請事業者に,その製造に用いる金型を保管
してもらっているが,不当な経済上の利益の提供要請に該当するか。
【改訂前】
A 金型の製造を委託した後、親事業者が所有する当該金型を下請事業者に預けて、
部品等の製造を委託している場合に、部品等の製造を大量に発注する時期を終えた
後、親事業者が下請事業者に対し部品の発注を長期間行わない事態となることがあ
る。このような場合に、親事業者が自己のために、その金型を下請事業者に無償で保
管させると、不当な経済上の利益の提供要請に該当するおそれがある。
【改訂後】
A 部品等の製造を委託し,その製造に用いる型等(金型,木型,治具,検具,製造
設備等をいう。)(※1)を下請事業者に保管させている場合において,親事業者が
部品等の発注を長期間行わない等の事情(※2)があるにもかかわらず,保管費用
(自社倉庫の使用料相当額,外部倉庫の使用料,倉庫等への運送費,メンテナンス費
用等の型等を保管させたことによる費用をいう。)を支払うことなく下請事業者に型
等を保管させたときは,不当な経済上の利益の提供要請に該当するおそれがある。
下請事業者に部品等の発注を長期間行わない等の事情がある型等を保管させる場合
には,親事業者は,下請事業者と協議の上,保管期間(型等を用いる部品等の発注が
行われていない期間をいう。)中に発生した保管費用を支払わなければならない(※
3)。また,型等を廃棄・回収するか,保管を継続するかについても,下請事業者と
協議をする必要がある。
(※1)親事業者が所有する型等のほか,親事業者以外が所有する型等であって親事
業者が事実上管理している型等を含む。後者の例として,下請事業者が自社所有の型
等を保管しているものの,その廃棄等には親事業者の承認を要する場合がある。
(※2)「親事業者が部品等の発注を長期間行わない等の事情」は,個別事案ごとに
異なるものであるが,これまでの主な違反事例において認められたものは,次のとお
りである。
1 部品等の発注を長期間行わない場合
金型等を用いて製造する製品の発注を1年間以上行わないにもかかわらず,下請事業
者に当該金型等を無償で保管させていた事例
2 下請事業者が型等の廃棄や引取り等を希望している場合
下請事業者から金型の廃棄や引取り等の希望を伝えられていたにもかかわらず,引き
続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させていた事例
3 親事業者が次回以降の具体的な発注時期を示せない場合
金型を用いて製造する製品について今後1年間の具体的な発注時期を示せない状態に
なっていたにもかかわらず,引き続き,下請事業者に当該金型を無償で保管させてい
た事例
4 型等の再使用が想定されていない場合
木型等を用いて製品が製造された後,当該木型等を改めて使用する予定がないにもか
かわらず,引き続き,下請事業者に当該木型等を無償で保管させていた事例
(※3)保管費用の支払に関する留意点の例は,次のとおりである。
・ 親事業者の中には,「下請事業者からの請求がなければ保管費用を支払う必要は
ないと思っていた。」,「型等の最終稼働後1年間は無償で保管させてよいと思って
いた。」などの認識を示す者がみられるが,保管費用は下請事業者からの請求の有無
にかかわらず,保管期間に応じて支払う必要がある。
・ 型等の稼働状況を常に把握することが親事業者及び下請事業者にとって過度な負
担となる場合には,双方協議の上,年度ごとに保管させている型等を用いる部品等の
発注状況を確認し,当該年度における保管期間に応じた保管費用をまとめて支払うこ
とも許容される。